あまりにも芳しい音源に出会ってしまったので、誰も見てなくても更新、更新。
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Marvelous Cruelty「素晴ラシキ残酷」(通販盤)
1.黒ノ旋律
2.悲劇ノ調べ
3.奇劇ノ終焉
4.陰鬱ト影
5.悲哀故ニ…
6.逆サマノ夢
7.crisis for moon
生まれてくる時代を間違えた、古のダーク&ハードなコテコテビジュアル系バンドMarvelous Cruelty。
ドラムは打ち込みで、ツインギター編成。
ボーカリスト魁那のクレジットは「絶叫」。
平成を終えた令和の大阪で活動しております。
4月に「RTした人に抽選で13名に新曲デモテープをプレゼント」という企画をTwitterで行い、応募期間終了後に「RTしてくれた人全員にプレゼントします」と企画変更した太っ腹なバンドで、個人的にはそこで初めて名前も知りました。(過去には結構な数の音源(それもデモテープ中心)をリリースしているようですが)
デモテープ配布後、新音源としてTwitter上でリリース告知されたのがこのアルバム。
限定数は驚異の49枚…アマチュアバンドかよ。
しかし、Twitter企画で知った人も多く、「貰いっぱなしでは悪いな」と思った人も多かったようで秒殺完売。
そんな、ドマイナービジュアル系シーンに高くアンテナを張ってた人には大注目の一枚になっています。
というわけで、まずは装丁からチェック…
3500円(送料込)というお値段だったのですが…限定数からも分かる通り、CD-R。
ジャケットは…紙ペラ1枚で、裏面に歌詞をまとめて掲載。
値段に対して、仕様が同人レベル!!
本当にアマチュアか⁉
まぁ、デモテープ配布でかなりお金使ったでしょうから…大目に見て、肝心の音を見ていきましょう。
曲名に平仮名を使わないという徹底ぶりからも、La:Sadie'sやMadeth gray'll、Deshabillzといった、’90年代中~後期のコテコテバンドからの影響を受けているのが分かりますが、実際の音も、当時のバンドの音源が20年ぶりに発掘された…と言っても通じるくらい、スタイルやサウンドメイク、プロダクションが当時のレベル。
現代のテクノロジーで、今風にアップグレードされた…ということも一切ありません。
2ch同時入力の8chMTRで宅録したかのようなチープなプロダクションになっています。
#1はイントロダクション的ナンバー。不気味なSEをバックに語りを聞かせ、次の曲に雪崩れ込む…と思いきや、まさかのアカペラ歌唱を聞かせてくる、ボーカル(クレジットは“絶叫”ですが、便宜的にボーカルと呼ばせてもらいます)の演じぷりが気持ちいいオープニングになっています。
#2は前述のTwitter企画で配布されたデモテープ収録曲。聞き比べてないですが、おそらく同じテイク。
ツタツタビートをバックに、“絶叫”の通り名に恥じないボーカルを聞かせてくれるハードナンバーになっています。3分に満たない時間でそれなりに起伏があるメロディライン/曲構成なので、単調になりがちなところを上手く聞かせることができていると思います。
…というか、これ、本当に20年前のバンドじゃないよね?
#3もスピーディでハードな音使いのナンバー。
ギターの単音リフやボーカルラインがメロディアスなイントロ~Aメロ、ツタツタビートでヘドバンを煽りそうなブリッジとなりそうなBメロ、再びメロディアスにボーカルラインを聞かせるサビと、お約束通りの曲構成になっていて、当時のバンドを知ってる人が聞いたらニヤニヤが止まらないかと思います。
#4はスピーディ&ヘビーなビートをバックに面白い音階で叫ぶナンバーで、1分半ほどで一気に聞かせてきます。
#5はギターのアルペジオをバックにしっとり歌い上げるイントロダクションから、疾走感に乗せてメロディアスに聞かせるビジュアル系的キラーチューン。ビジュアル系ならこういう曲を持っていないといけないし、こういう曲で耳を引き付けられなかったら存在価値無し…くらい「外してはいけない」ナンバーですが、教科書通りツボを押さえた上々の出来です。
ギターソロが二部構成になっているのもポイントが高いですが、できればツインでのハモりを聞かせてくれたらなぁ~、という印象。
#6はLamielぽい面白い音階のギターリフが印象的なヘビーナンバー。
サビで一気にメロディアスに聞かせてくる曲構成も〇。
#7は通販盤のボーナストラック。会場で販売する分は違う曲になるんでしょうね…
ヘビーなギターをバックにメロディアスなボーカルラインを聞かせるナンバーで、アルバム中最も長尺(と言っても4分)になっています。この曲も少しLamielぽい印象を受けます。
と、各曲で「メロディアス」という単語を出しましたが、ダーク&ハードな中に、ちゃんとビジュアル系らしいボーカルラインを聞かせる部分があるところは好印象で、仮に20年前に存在していたとしても、「聞きどころがある」と音源購入はしてたんじゃないかなぁ~、と感じます。
また、今のバンドが懐かしんで、今の録音技術でCDにすればいい物を“わざわざ”ダウングレードしてデモテープを作るのではなく、“デモテープでちょうどいい”程度の録音環境で作成しているところも、こだわりを感じます。(もし、そういう環境しかないなら応援したくなる)
各パート、決して上手いとは言えませんが、当時のバンドへのリスペクトを感じる再現度になっていて、当時のバンドが本当に好きでよく研究しているんだろうな、と感じさせられます。そう思うと、技術的拙さも当時ぽいです。
今後も、ライブでの音源配布や限定音源の通販、無料ライブ等々、アクティブな活動をしていくと思われます。
“あの頃”のバンドが好きな人にはぜひチェックしていただきたいですね。
Official ChannelのPV。
もう、100点満点でしょ、これ。