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X JAPAN「We Are X」
CD.1
1.La Venus(Acoustic version)
2.紅(From The Last Live)
3.Forever Love
4.Es Durのピアノ線
5.DAHLIA
6.Crucify My Love
7.XCLAMATION
8.STANDING SEX(From X JAPAN Returns)
9.TEARS
10.LONGING~切望の夜~
11.ART OF LIFE 第三楽章
12.ENDLESS RAIN(From The Last Live)
13.X(From The Last Live)
14.Without You(Umplugged)
CD.2
1.Rusty Nail(From DAHLIA TOUR FINAL ~無謀な夜~)
2.Forever Love(From The Last Live)
昨年、PATAの急病により無期延期となってしまったNew Albumのリリースと、イギリスの名門・ウェンブリーアリーナでのライブ(こちらは先日慣行!!)の代わりに届けられ、各国の映画祭で賞を受賞したり絶賛されたドキュメンタリー映画「We Are X」のサントラ…としてリリースされたアルバム。
映画のために(もう十分遅れてるから、1曲追加してもっと遅らせても大丈夫だろうと)製作された新曲を、ピアノ&ストリングスをバックに聞かせるバージョンの#1と、'05年にYOSHIKIがソロ名義のクラシックアルバム用に、hideを思い書き上げたナンバーを、ピアノだけをバックに歌い上げる#14という、復活後、初となるパッケージでのスタジオ音源(配信限定では「I.V.」や「JADE」等あったが)が収録されているため、注目されていました。
…まず、アルバムの説明の前に、映画の話を。
映画は、オフショットや過去の映像作品やTV出演映像、秘蔵ライブ映像等を使いXの歴史を振り返り、マディソンスクエアガーデン(MSG)でのライブまでを辿る内容。
個人間の内情や舞台裏は、話としては知っていたけど、実際に本人の口から話されると衝撃的な内容の連続で、特にYOSHIKIの父の死から得た生死観、ToshIの洗脳の話はかなり生々しく、「自殺の罪深さ」と「洗脳の恐ろしさ」を伝える内容にもなっていました。
関係者のインタビュー…特に、海外の方からのものはリップサービス全開な雰囲気でしたが…
メインとなる映像はMSGでのライブで、過去の映像で使われる曲がサントラに収録されている感じで、スタジオ音源は#11,#12を除き、フルでの収録。ライブ音源はイントロダクションが省かれたり、煽りのリフレインでフェイドアウト…と、オリジナルリリースされたものからは再編集されています。
2つの新曲を除くと既発音源のため、"サントラ"と言いつつ、変則的な内容のベストと言うべき内容ですが、#10(インストパートのみ)と、最近のライブではよく披露する#11はオフィシャルで初編集され、最新リマスタリングが施されているため、「ベストはもういいから、早くオリジナル出せよ!!」というライトなファンの方でも、他のベストよりオススメできる内容になっています。
初めて聞くX JAPANの作品となると、他のオリジナル作をオススメしますが…
さて。肝心の新曲ですが…
#1はYOSHIKIお得意のバラードで、洗脳から開放されたToshIの伸びやかかつエモーショナルなボーカルが映える、非常に美しいメロディを聞かせるナンバー。昨年のVISUAL JAPAN SUMMITでサビだけ演奏されたり、直近のTV番組でも披露されていますが、やはり映画を見た上で音源を聞き込むと印象は変わってきます。
別れと再会があったからこそ、時に悲しげに、時にポジティブに響く部分があり、映画とリンクしている曲だと思います。
#14はピアノだけをバックにToshIが歌い上げるアレンジ。音質から、恐らくYOSHIKIが弾くピアノにその場で合わせた一発録りかな、と。ライブで何度も披露され、聴衆だけでなく演者まで涙してしまう楽曲ですが、このテイクでも、ToshIは声を震わせる部分があります。
某誌で、本作の解説も手がけた増田勇一氏(映画にもコメント出演&パンフレットに解説を寄稿)が「「よくも俳優みたいに必要に応じて泣けるよな」ということではなく、"いつもの物語の、いつものポイント"で感情のピークを迎えるほど、本気で挑んでいる」と綴っていたのを思い出し、なるほど!と思わされる部分でもありました。
恐らく、今後 そのうち リリースされるNew Albumでのテイクでは感情をコントロールし歌い上げてくれるとは思いますが、その前段階のデモンストレーション音源と考えると、YOSHIKI…というか、Xらしさが詰まったテイクと言えそうです。
前述のとおり、純然たる新曲・未発表テイクは2曲だけで、一部マニアックな選曲がされたベストという印象の内容ですが、新作への期待が膨らむ内容なので、ライトなファンにも聞いてもらいたいです。
…勿論、映画も見てもらった上のほうが、楽しめるかと思います。
なお、邦盤は既発のライブ音源を収録のDisc.2、歌詞と解説を掲載したブックレット(追加の写真等はなし)、BOX仕様と、豪華なようであまり豪華でないので、安価な輸入青盤を買うのがオススメです。